フジアン35mm F1.7

SONY α NEX-6

秋から冬へ / from autumn to winter

フジアン35mm F1.7作例写真

fujian35mm F1.7作例写真

fujian35mm F1.7サンプル写真

フジアン35mm F1.7サンプル画像・猫

フジアン35mm F1.7サンプル画像

レンズの欠点は魅力でもある。

このレンズの最大の特徴は、像面湾曲である。センサー面(フィルム面)に平坦に結像しないので、1点にピントを合わせても、他の部分は大きくぼける。絞りをしぼっても被写界深度ではまかないきれないので、その特徴は消えない。
また、APS-C機に取り付けるとイメージサークルがぎりぎりで、周辺減光や周辺画質の低下が目につく。

その一方で、レンズ構成が単純で枚数が少ないためか、抜けがよく色調がナチュラルである。
公称35mm(実際はもう少し長い)なので、APS-C機に取り付ければ50mm標準レンズ(35mm判換算)と同等の画角になり、画面を切り取って撮影するには使いやすい。絞りも公称F1.7と明るく、何かと便利。

このレンズのことを「画面全体がボケるレンズ」だと思っている人が多い。ところが、じつはピントが合った部分の解像度は高い。(上の写真の猫の瞳などを参照)
しかし、像面湾曲によってボケた部分が目につくため、画面全体がボケていると誤解されているようだ。

(部品精度や組付精度が高いレンズとは思えないので、個体によっては本当にボケボケのレンズもあるかもしれません)

ピントが合っているかと思うと、そのすぐ横はボケていたりと、視覚がまどわされて見ていてクラクラするような写真が撮れる。

そもそも光学性能を云々するレンズではないが、レンズの欠点は魅力でもある。


このレンズの誕生の経緯は、次のようなものらしい。
MFT(マイクロフォーサーズ)カメラの登場によって、長いこと使い道のなかったCマウントレンズが注目を集めた。MFTはフランジバッグが短いため、アダプターを介してカメラに取り付ければ、Cマウントレンズでもピントを合わせることができ、使用できるからである。
そのため古いCマウントレンズが脚光を浴び、タダ同然だったレンズがマニアの間で高額で取引されるようになった。

売れるとわかれば作る人が出てくる。中国でこのCマウントレンズが作られ、インターネットを通じて販売された。
日本の富士フイルムの「FUJINON(フジノン)」レンズは業務用として従来から評価が高く、Cマウントレンズでも「フジノン」レンズは(関係者には)有名だった。中国の会社がそこから名前をとって「FUJIAN(フジアン)」と名付けて販売した。

以上のように、「なんちゃってCマウントレンズ」「日本のブランド名を勝手に真似たレンズ」というのが、このレンズの正体である。
しかし、結果として、おもしろい写真(=特徴のある写真)が撮れるレンズになっている。

フジアン35mm F1.7サンプル写真

※FUJIAN 35mm F1.7で撮影した写真がこちらのページにもあります→ FUJIAN 35mm F1.7

(撮影2013-2014・公開2014/08/23)