SONY DT18-55mm F3.5-5.6 SAM(初期型)

SONY α55

スナップショット / Snapshot

【写真1】
DT18-55mm作例写真

18mm ISO400 分割測光 プログラムAE f5.6 1/40 +0.3EV
シャープで色あざやか。光量がやや不足気味の場所では、よく写るレンズです。

【写真2】
宵

27mm ISO1600 分割測光 プログラムAE f3.5 1/15 ±0EV
自然光と人工光が入り混じった、夕闇迫る時間帯の雰囲気が出た写真。
画面右上に街灯から伸びた丸いゴーストが現れていますが、(私は)不快感はありません。むしろこの状況では、ゴーストが出たほうが視覚的に自然な印象さえします。しかし、よく見ると丸いゴーストの周辺にピンクがかったフレアが出ています。フレアに弱い、このレンズの性格の一端が現われています。
それでも、この写真においては特に気になるレベルではなく、よく写っていると思います。

【写真3】
フレアのある写真55mm ISO400 分割測光 シャッター速度優先AE 1/20 f36 ±0EV
(シャッター速度の設定を間違えています)

フレアで画面全体のコントラストが低下した写真。
画面内に太陽は写りこんでいないものの、画面外からの直射日光がレンズに当たりコントラストが大幅に低下した。
丸型フードは使用していたが、レンズに直射日光が当たる角度だった。

【写真4】
フレアの少ない写真・155mm ISO100 分割測光 シャッター速度優先AE 1/80 f10 ±0EV

手のひらをかざし、レンズに当たる太陽光をさえぎって撮影。だいぶ改善するが、建物の壁面を見ると黒のしまりがなくコントラストが低下している。

【写真5】
開山式

39mm ISO400 分割測光 プログラムAE f10 1/320 ±0EV
背景(建物)の暗さにひっぱられて露出がやや多めになったためか、日なたの白い部分が飛び気味。
「富士山開山式」の黒文字が薄いのはフレアではなく、元々薄い文字だからです。
たしかに白とびしやすい条件ではあるが、別のレンズならばもう少し踏ん張ったかなあ?と思わせる1枚。

【写真6】
バス停

18mm ISO400 分割測光 プログラムAE f10 1/320 +0.7EV
どんよりと曇った空が背景にあり、拡散光によりコントラストが低下してねむい描写になった事例。
ところで、α55はレンズ収差補正機能が未搭載なので、この【写真6】でDT 18-55mmの広角端の歪曲収差がわかります。バスの天井、路面のブロックがタル型に曲がっています。被写体によっては気になるレベル。


シャープだが、フレアによるコントラスト低下が泣きどころ

ソニーのAPS-C用Aマウント標準ズームレンズ(キットレンズ)「DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM」には、新旧3つの製品があります。(2014/5/3現在)
区別のため、仮に「初期型」「B型」「2型」と呼ぶことにします。

【初期型】ソニー公式発売日:2009/06/25
DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM……SAL1855

【B型】ソニー公式発売日:2012/05/11
DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM……SAL1855 B(通称は同じ。製品番号に「B」が付く)
(初期型から外装のみを変更したマイナーチェンジらしい)

【2型】ソニー公式発売日:2013/08/09
DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II……SAL18552(通称に「II」が付き、製品番号に「2」が付く)

ソニーの発表によると、最新型である「2型」は、
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後遮光窓の形状を見直すことにより、
フレア・ゴーストを抑えてより高い描写性能を実現しました。
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とのことです。

わざわざ「フレア・ゴーストを抑えて」と書くのは、【初期型】【B型】がフレアやゴーストに弱かったことをソニー自身が認めているから、と理解できます。

私はα55にキットレンズとして付属してきた【初期型】を2011年3月頃から1年半ほど使用しました。光量が不足気味な状況下で、屋内や夕暮れ時の色の鮮やかさに驚かされたことが何度かありました。解像度も、α55の1600万画素センサーには十分なシャープさだと感じました。

その一方で、明所での撮影には弱点が出るレンズでした。横方向から直射日光がレンズに当たった場合や、曇り空で太陽光が拡散した状況下などでは、がっかりするほどコントラスが低下したり、ねむい描写になってしまうのです。

直射日光によるコントラスト低下は撮影時に原因がわかったのでいいのですが、曇り空でねむい描写になっときは、最初は理由がわかりませんでした。まさか曇り空が原因とは思わず、できあがった写真を見て「いまひとつピリッとしないなあ」「さえないなあ」と疑問に思うこと、たびたび。

DT 18-55mmでは広角側の画角が足りないと感じるケースもあり、途中でVario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA SAL1680Zを購入。DT 18-55mmは手放してしまったのですが、2013年8月に【2型】が発売されフレア対策が施されていると知りました。

【初期型】は(α55の1600万画素では)十分な解像度で、もしも本当に【2型】がフレアに強くなっていれば使えるレンズなので、その性能がとても気になっていました。しかし、わざわざ購入してまで【2型】の性能を確認をする気にもなれずにいました。

ところが、【2型】レンズ単体のソニー希望小売価格30,000円、価格コム最安値11,700円、アマゾン価格11,800円だった2014年2月(いずれも税抜価格)、【2型】の新品レンズが6000円で某所で売りに出ていたので、検証のためヒトバシラ―として購入してみました。

さて、【2型】の性能が、どうだったのか、と言うと……(続く)

(公開2014/05)