SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM

SONY α55

スナップショット(8mm広角端) /
Snapshot by Ultra Wide Angle 8mm

【写真1】
SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM作例写真

ISO1600 分割測光 プログラムAE F4.5開放 1/30 -0.70EV 8mm(35mm判換算12mm相当) 撮影2011年4月
屋内で広範囲を写したいときにたいへん助かるレンズ。スクリーンを横から撮影しているためパースペクティブを感じさせる写真になっていますが特にパースペクティブを強調したかったわけではなく、「この施設の全貌(広範囲)を見せる」ことに目的を置いて写しました。縦方向のパースペクティブが出ないようにカメラを水平にかまえて手持ち撮影。
スクリーン左端で湾曲収差がわかりますが不自然さはありません。画面右上のスポットライトのゴーストが画面左下に紫色で出ていますが、言われなければ気づかないレベルであり、この絵柄では修正も容易。
絞り開放でこれだけ写れば文句のつけようがない。

【写真2】
シグマ 8-16mm作例写真

ISO400 分割測光 シャッター速度優先AE F7.1 1/640 -0.30EV 8mm(35mm判換算12mm相当 撮影2011年10月
逆光に強い。直射日光がレンズ表面に当たっているがゴーストは出ておらず、コントラストの低下もない。画面右上、右下、左下に周辺減光を感じるが(私は)気になりませんし、画像処理ソフトで修正は容易。

【写真3】
シグマ 8-16mmサンプル写真

ISO100 分割測光 プログラムAE F9.0 1/40 ±0EV(AE LOCK?) 8mm(35mm判換算12mm相当) 撮影2011年4月
「超広角レンズくささ」を抑えつつ周囲のようすを説明するために写しました。画面右端の軽トラックの形状で超広角レンズと気づく人がいるかもしれません。
曇天だがコントラストは高く、めりはりのある画像。曇天を背景にした木の枝にパープルフリンジを若干感じさせるが優秀なレベル。ちなみにパソコンのモニターで等倍画像を確認しても(パープルフリンジ以外の)色収差はほとんど感じません。


「空間の2次元変換装置」としての超広角レンズ

広角レンズや超広角レンズの説明で「パースペクティブ(遠近感)の強調」という言葉を目にする。手前の被写体に対して遠方の被写体が極端に小さく写る特性を説明するために、高層ビルを下から見上げたような写真が作例で使われるケースが多い。

しかし、それはレンズ説明における「悪(あ)しき習慣」だと思う。パースペクティブの説明としてそういった写真を掲載するのはしかたないとしても、それを「超広角レンズの使用方法」だと誤解させてしまう弊害がある。

結論めいたこと言えば、「超広角レンズで撮影したことを感じさせない写真」を撮るべきである。いかにも「超広角レンズで撮影しました」的な写真の多くは、レンズの特性に振り回されていて、撮影のポイントが絞れていないケースが多い。

「その場所から撮影すると一部しか写らないシーンの全貌(広範囲)を写したい」ので、(超)広角レンズを使用する、ならばOK。撮影位置の都合でそれ以上はカメラが後ろに下がれない場合などである。そうすることで周囲(広範囲)の状況を、1枚の画像の中に入れ込むわけである。そういう意味において、私は(超)広角レンズを「空間の2次元変換装置」として使うことが多い。

「不要物除去装置」としての超広角レンズ

そしてもうひとつ重要なのが、(超)広角レンズの「不要物除去装置」として機能である。広範囲を写すために後ろに下がることができるが、下がると手間にある余計な物が写りこんでしまうケースが多々ある。その場合、あえて後ろには下がらず、手間のじゃま物が写りこまない近距離から画角の広いレンズを使う。

(超)広角レンズを使うと似たような写真ばかりになってしまうケースがあるが、以上のようなことを意識するだけで写真が違ってくる。


シャープ、逆光に強い、高コントラスト

SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSMはAPS-Cサイズ用の超広角ズームレンズであり、35mm判換算では12mmから24mmに相当する。超広角レンズというとホロゴンやスーパーアンギュロン、スーパーディスタゴンなどが名レンズということになっているが、デジタルAPS-C用レンズとしては、このシグマ8-16mmもかなりのものだと思う。

シグマのサイトには、以下のような説明がある。
自社による商品説明は「このようにがんばっています!」という公式見解であり、実際の商品はそれほどでもないケースも多いのだが、この8-16mmについては、納得のいく性能になっています。
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【シグマ公式サイトより抜粋】
http://www.sigma-photo.co.jp/lens/wide/8_16_45_56/

優れた描写性能を発揮

蛍石と同等の性能を誇るFLD("F" Low Dispersion)ガラス*を4枚採用し、超広角で問題となる倍率色収差を極限まで補正。グラスモールド非球面レンズ2枚、ハイブリット非球面レンズ1枚を採用し、非点収差、像面湾曲を良好に補正。インナーフォーカスの採用により、フォーカシングによる収差変動を最大限に抑え、全撮影距離で高画質を実現しています。

スーパーマルチレイヤーコート採用

スーパーマルチレイヤーコートの採用により、フレア・ゴーストの発生を軽減。開放からシャープでコントラストの高い描写を実現、ズーム全域で優れた描写性能を発揮します。
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【写真4】
SIGMA 8-16mmサンプル

ISO800 分割測光 絞り優先AE F8開放 1/500 +0.70EV 8mm(35mm判換算12mm相当) 撮影2012年1月

これも逆光だが、ゴースト発生やコントラストが気にならない写りです。
【写真1】から【写真3】までは湾曲収差が目立ちにくい構図や被写体でしたが、画面上下に直線を入れたのが【写真4】です。広角8mm端です。
スナップ写真的な見せ方では(私は)許容範囲。湾曲が陣笠状を感じさせず、くせの少ない弧状なので画像ソフトによる修正が容易と思われます。

(続く)

(公開2014/12)